7:14 主はモーセに言われた。「ファラオの心は頑迷で、民を去らせない。
7:15 明朝、ファラオのところへ行きなさい。彼は水辺に下りて来る。あなたは蛇になったあの杖を手に持ち、ナイル川の岸辺に立って、彼を待ち受け、
7:16 彼に言いなさい。ヘブライ人の神、主がわたしをあなたのもとに遣わして、『わたしの民を去らせ、荒れ野でわたしに仕えさせよ』と命じられたのに、あなたは今に至るまで聞き入れない。
7:17 主はこう言われた。『このことによって、あなたは、わたしが主であることを知る』と。見よ、わたしの手にある杖でナイル川の水を打つと、水は血に変わる。
7:18 川の魚は死に、川は悪臭を放つ。エジプト人はナイル川の水を飲むのを嫌がるようになる。」
7:19 主は更にモーセに言われた。「アロンに言いなさい。『杖を取り、エジプトの水という水の上、河川、水路、池、水たまりの上に手を伸ばし、血に変えなさい』と。エジプトの国中、木や石までも血に浸るであろう。」
7:20 モーセとアロンは、主の命じられたとおりにした。彼は杖を振り上げて、ファラオとその家臣の前でナイル川の水を打った。川の水はことごとく血に変わり、
7:21 川の魚は死に、川は悪臭を放ち、エジプト人はナイル川の水を飲めなくなった。こうして、エジプトの国中が血に浸った。
7:22 ところが、エジプトの魔術師も秘術を用いて同じことを行ったのでファラオの心はかたくなになり、二人の言うことを聞かなかった。主が仰せになったとおりである。
7:23 ファラオは王宮に引き返し、このことをも心に留めなかった。
7:24 エジプト人は皆、飲み水を求めて、ナイル川の周りを掘った。ナイルの水が飲めなくなったからである。
詩篇 65:1 指揮者によって。賛歌。ダビデの詩。歌。
65:2 沈黙してあなたに向かい、賛美をささげます。シオンにいます神よ。あなたに満願の献げ物をささげます。
65:3 祈りを聞いてくださる神よ すべて肉なるものはあなたのもとに来ます。
65:4 罪の数々がわたしを圧倒します。背いたわたしたちを あなたは贖ってくださいます。
65:5 いかに幸いなことでしょう あなたに選ばれ、近づけられ あなたの庭に宿る人は。恵みの溢れるあなたの家、聖なる神殿によって わたしたちが満ち足りますように。
65:6 わたしたちの救いの神よ あなたの恐るべき御業が わたしたちへのふさわしい答えでありますように。遠い海、地の果てに至るまで すべてのものがあなたに依り頼みます。
65:7 御力をもって山々を固く据え 雄々しさを身に帯びておられる方。
65:8 大海のどよめき、波のどよめき 諸国の民の騒ぎを鎮める方。
65:9 お与えになる多くのしるしを見て 地の果てに住む民は畏れ敬い 朝と夕べの出で立つところには 喜びの歌が響きます。
65:10 あなたは地に臨んで水を与え 豊かさを加えられます。神の水路は水をたたえ、地は穀物を備えます。あなたがそのように地を備え
65:11 畝を潤し、土をならし 豊かな雨を注いで柔らかにし 芽生えたものを祝福してくださるからです。
65:12 あなたは豊作の年を冠として地に授けられます。あなたの過ぎ行かれる跡には油が滴っています。
65:13 荒れ野の原にも滴り どの丘も喜びを帯とし
65:14 牧場は羊の群れに装われ 谷は麦に覆われています。ものみな歌い、喜びの叫びをあげています。
使徒 27:13 ときに、南風が静かに吹いて来たので、人々は望みどおりに事が運ぶと考えて錨を上げ、クレタ島の岸に沿って進んだ。
27:14 しかし、間もなく「エウラキロン」と呼ばれる暴風が、島の方から吹き降ろして来た。
27:15 船はそれに巻き込まれ、風に逆らって進むことができなかったので、わたしたちは流されるにまかせた。
27:16 やがて、カウダという小島の陰に来たので、やっとのことで小舟をしっかりと引き寄せることができた。
27:17 小舟を船に引き上げてから、船体には綱を巻きつけ、シルティスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて海錨を降ろし、流されるにまかせた。
27:18 しかし、ひどい暴風に悩まされたので、翌日には人々は積み荷を海に捨て始め、
27:19 三日目には自分たちの手で船具を投げ捨ててしまった。
27:20 幾日もの間、太陽も星も見えず、暴風が激しく吹きすさぶので、ついに助かる望みは全く消えうせようとしていた。
27:21 人々は長い間、食事をとっていなかった。そのとき、パウロは彼らの中に立って言った。「皆さん、わたしの言ったとおりに、クレタ島から船出していなければ、こんな危険や損失を避けられたにちがいありません。
27:22 しかし今、あなたがたに勧めます。元気を出しなさい。船は失うが、皆さんのうちだれ一人として命を失う者はないのです。
27:23 わたしが仕え、礼拝している神からの天使が昨夜わたしのそばに立って、
27:24 こう言われました。『パウロ、恐れるな。あなたは皇帝の前に出頭しなければならない。神は、一緒に航海しているすべての者を、あなたに任せてくださったのだ。』
27:25 ですから、皆さん、元気を出しなさい。わたしは神を信じています。わたしに告げられたことは、そのとおりになります。
27:26 わたしたちは、必ずどこかの島に打ち上げられるはずです。」
27:27 十四日目の夜になったとき、わたしたちはアドリア海を漂流していた。真夜中ごろ船員たちは、どこかの陸地に近づいているように感じた。
27:28 そこで、水の深さを測ってみると、二十オルギィアあることが分かった。もう少し進んでまた測ってみると、十五オルギィアであった。
27:29 船が暗礁に乗り上げることを恐れて、船員たちは船尾から錨を四つ投げ込み、夜の明けるのを待ちわびた。
27:30 ところが、船員たちは船から逃げ出そうとし、船首から錨を降ろす振りをして小舟を海に降ろしたので、
27:31 パウロは百人隊長と兵士たちに、「あの人たちが船にとどまっていなければ、あなたがたは助からない」と言った。
27:32 そこで、兵士たちは綱を断ち切って、小舟を流れるにまかせた。
27:33 夜が明けかけたころ、パウロは一同に食事をするように勧めた。「今日で十四日もの間、皆さんは不安のうちに全く何も食べずに、過ごしてきました。
27:34 だから、どうぞ何か食べてください。生き延びるために必要だからです。あなたがたの頭から髪の毛一本もなくなることはありません。」
27:35 こう言ってパウロは、一同の前でパンを取って神に感謝の祈りをささげてから、それを裂いて食べ始めた。
27:36 そこで、一同も元気づいて食事をした。
27:37 船にいたわたしたちは、全部で二百七十六人であった。
27:38 十分に食べてから、穀物を海に投げ捨てて船を軽くした。
パウロを乗せた船が難破した時、もう何日も太陽も星も見ることができず、多くの荷物と共に、船具まで捨ててしまうような状態であったため、もはや誰も助かる見込みなどないと考えていたことであろう。
もちろん、そういう状況にあることは、パウロ自身も分かっていたはずである。
しかし、パウロは神のご計画によって、ここで命を落とすことにはならないと確信していたため、同じ船に乗っている人達の命も一人も失われることはないと言って励まそうとしているのである。
船に乗っていた人たちは、嘘でもいいから、そんな励ましの言葉を言ってくれる人がいるだけでも励まされたのではないだろうか。
絶望的な状況の中にある時に、ありえない希望の言葉を語ることは、本当に勇気がいるし、確信なき弱弱しい言葉なら、口にしない方がいいくらいであろう。
しかし、パウロの言葉には力と確信があった。
だから人々はパウロの言葉に励まされ、生きる望みを失うことなく、過ごせたのであろう。
私たちの日常は、そこまで絶望的ではないと普段は考えているかもしれない。
けれど、本当は、生きる望みなど何もない、いつ、命が失われてもおかしくないほどの世界に生きている。
そんな中、希望の言葉を語り続けていくには勇気がいるし、確信を持っている必要がある。
神の救いの言葉を伝えて行く時、それほどの確信が私の中にあるだろうか、と悩むかもしれないが、救いの確信は、私のうちにあるのではなく、キリストの十字架の贖いと復活の御業の中に現わされているものであり、たとえどんなに私たちが不真実で、不信仰であったとしても、神の成し遂げられた救いの約束が確かなものであるからこそ、そこに確信があると言えるのである。
だから、私たちは、常に聖書の御言葉に帰り、そこに語られていることが真実であるからこそ、たとえ私たちの置かれている状況が絶望的な状況であったとしても、希望を持ち続けていくことができる。
この希望の言葉を勇気を持って、確信を持って語り続けて行きたいものである。