エステル 2:15 モルデカイの伯父アビハイルの娘で、モルデカイに娘として引き取られていたエステルにも、王のもとに召される順番が回ってきたが、エステルは後宮の監督、宦官ヘガイの勧めるもの以外に、何も望まなかった。エステルを見る人は皆、彼女を美しいと思った。
2:16 さて、エステルは王宮のクセルクセス王のもとに連れて行かれた。その治世の第七年の第十の月、すなわちテベトの月のことである。
2:17 王はどの女にもましてエステルを愛し、エステルは娘たちの中で王の厚意と愛に最も恵まれることとなった。王は彼女の頭に王妃の冠を置き、ワシュティに代わる王妃とした。
2:18 次いで、王は盛大な酒宴を催して、大臣、家臣をことごとく招いた。これが、「エステルの酒宴」である。更に、王は諸州に対し免税を布告し、王の寛大さを示すにふさわしい祝いの品を与えた。
2:19 再び若い娘が集められた時のことである。モルデカイは王宮の門に座っていた。
2:20 エステルはモルデカイに命じられていたので、自分の属する民族と親元を明かすことをしなかった。モルデカイに養われていたときと同様、その言葉に従っていた。
2:21 さてそのころ、モルデカイが王宮の門に座っていると、王の私室の番人である二人の宦官ビグタンとテレシュが何事かに憤慨し、クセルクセス王を倒そうと謀っていた。
2:22 それを知ったモルデカイは王妃エステルに知らせたので、彼女はモルデカイの名でこれを王に告げた。
2:23 早速この件は捜査されて明らかにされ、二人は木につるされて処刑された。この事件は王の前で宮廷日誌に記入された。

エステルは、他の女性たちと違い、役人らの勧めるもの以外に何も望まず、そういった欲の無さであった、謙遜さといった、人としての美しさを備えていたのであろう。
王妃ワシュティに代わる新しい王妃として召されることになる。
一方のモルデカイも、王に対する忠誠を保ち、謀反を未然に防ぐことに貢献するのである。
エステルにしても、モリデカイにしても、自らの内に秘めた思いはあったに違いないが、今は自分に求められる務めを果たし、時が来たら、自分のなすべき務めを果たす、そのような生き方を送っていたということであろう。
「急いては事をし存じる」という言葉があるが、いろいろな思いがあって当然であるし、やりたいこともたくさんあるかもしれないが、本当にその働きが自分に求められているのなら、慌てなくても、必ずその時はやってくる。
そう信じて、慌てて自分の思いだけで行動してしまわないよう、時を見ながら歩んでいけたらと思う。

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