創世記 24:33 やがて食事が前に並べられたが、その人は言った。「用件をお話しするまでは、食事をいただくわけにはまいりません。」「お話しください」とラバンが答えると、
24:34 その人は語り始めた。「わたしはアブラハムの僕でございます。
24:35 主がわたしの主人を大層祝福され、羊や牛の群れ、金銀、男女の奴隷、らくだやろばなどをお与えになったので、主人は裕福になりました。
24:36 奥様のサラは、年をとっていましたのに、わたしの主人との間に男の子を産みました。その子にわたしの主人は全財産をお譲りになったのです。
24:37 主人はわたしに誓いを立てさせ、『あなたはわたしの息子の嫁を、わたしが今住んでいるカナンの土地の娘から選び取るな。
24:38 わたしの父の家、わたしの親族のところへ行って、息子の嫁を連れて来るように』と命じました。
24:39 わたしが主人に、『もしかすると、相手の女がわたしに従って来たくないと言うかもしれません』と申しますと、
24:40 主人は、『わたしは今まで主の導きに従って歩んできた。主は御使いを遣わしてお前に伴わせ、旅の目的をかなえてくださる。お前は、わたしの親族、父の家から息子のために嫁を連れて来ることができよう。
24:41 そのとき初めて、お前はわたしに対する誓いを解かれる。またもし、わたしの親族のところに行っても、娘をもらえない場合には、お前はこの誓いを解かれる』と言いました。
24:42 こういうわけで、わたしは、今日、泉の傍らにやって来て、祈っておりました。『主人アブラハムの神、主よ。わたしがたどってきたこの旅の目的を、もしあなたが本当にかなえてくださるおつもりなら、
24:43 わたしは今、御覧のように、泉の傍らに立っていますから、どうか、おとめが水をくみにやって来るようになさってください。彼女に、あなたの水がめの水を少し飲ませてください、と頼んでみます。
24:44 どうぞお飲みください、らくだにも水をくんであげましょう、と彼女が答えましたなら、その娘こそ、主が主人の息子のためにお決めになった方であるといたします。』
24:45 わたしがまだ心に言い終わらないうちに、リベカさまが水がめを肩に載せて来られたではありませんか。そして、泉に下りて行き、水をおくみになりました。わたしが、『どうか、水を飲ませてください』と頼みますと、
24:46 リベカさまはすぐに水がめを肩から下ろして、『どうぞお飲みください。らくだにも飲ませてあげましょう』と答えてくださいました。わたしも飲み、らくだも飲ませていただいたのです。
24:47 『あなたは、どなたの娘さんですか』とお尋ねしたところ、『ナホルとミルカの子ベトエルの娘です』と答えられましたので、わたしは鼻輪を鼻に、腕輪を腕に着けて差し上げたのです。
24:48 わたしはひざまずいて主を伏し拝み、主人アブラハムの神、主をほめたたえました。主は、主人の子息のために、ほかならぬ主人の一族のお嬢さまを迎えることができるように、わたしの旅路をまことをもって導いてくださいました。
24:49 あなたがたが、今、わたしの主人に慈しみとまことを示してくださるおつもりならば、そうおっしゃってください。そうでなければ、そうとおっしゃってください。それによって、わたしは進退を決めたいと存じます。」
24:50 ラバンとベトエルは答えた。「このことは主の御意志ですから、わたしどもが善し悪しを申すことはできません。
24:51 リベカはここにおります。どうぞお連れください。主がお決めになったとおり、御主人の御子息の妻になさってください。」
24:52 アブラハムの僕はこの言葉を聞くと、地に伏して主を拝した。
24:53 そして、金銀の装身具や衣装を取り出してリベカに贈り、その兄と母にも高価な品物を贈った。
24:54 僕と従者たちは酒食のもてなしを受け、そこに泊まった。次の朝、皆が起きたとき、僕が、「主人のところへ帰らせてください」と言うと、
24:55 リベカの兄と母は、「娘をもうしばらく、十日ほど、わたしたちの手もとに置いて、それから行かせるようにしたいのです」と頼んだ。
24:56 しかし僕は言った。「わたしを、お引き止めにならないでください。この旅の目的をかなえさせてくださったのは主なのですから。わたしを帰らせてください。主人のところへ参ります。」
24:57 「娘を呼んで、その口から聞いてみましょう」と彼らは言い、
24:58 リベカを呼んで、「お前はこの人と一緒に行きますか」と尋ねた。「はい、参ります」と彼女は答えた。
24:59 彼らは妹であるリベカとその乳母、アブラハムの僕とその従者たちを一緒に出立させることにし、
24:60 リベカを祝福して言った。「わたしたちの妹よあなたが幾千万の民となるように。あなたの子孫が敵の門を勝ち取るように。」
24:61 リベカは、侍女たちと共に立ち上がり、らくだに乗り、その人の後ろに従った。僕はリベカを連れて行った。
24:62 イサクはネゲブ地方に住んでいた。そのころ、ベエル・ラハイ・ロイから帰ったところであった。
24:63 夕方暗くなるころ、野原を散策していた。目を上げて眺めると、らくだがやって来るのが見えた。
24:64 リベカも目を上げて眺め、イサクを見た。リベカはらくだから下り、
24:65 「野原を歩いて、わたしたちを迎えに来るあの人は誰ですか」と僕に尋ねた。「あの方がわたしの主人です」と僕が答えると、リベカはベールを取り出してかぶった。
24:66 僕は、自分が成し遂げたことをすべてイサクに報告した。
24:67 イサクは、母サラの天幕に彼女を案内した。彼はリベカを迎えて妻とした。イサクは、リベカを愛して、亡くなった母に代わる慰めを得た。

イサクの妻となるリベカに出会ったアブラハムの僕は、時を置かず、翌日にはリベカを連れ帰ろうとする。
リベカが神が出合わせて下さった者ならば、時を置く必要などないと考えたからであろう。
あるいは、時間を置くことで、決心が揺らいでしまうことを恐れたのかもしれない。
リベカも彼の言葉に従い、出会って翌日には、イサクのもとへ向かうことになるのである。

御心ならその通りになる、ということであろう。

人生における出会い、進路、行く末など、必要以上に心配しなくても良いのかもしれない。
御心ならば、委ねて従っていくだけ。

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