イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、あなたの罪は赦される」と言われた。                               マルコ2章5節

 

連れて来られた中風の人に対してイエス様が「あなたの罪は赦される」と赦しの宣言をし、その後、いやされたできごとです。

信仰を見て
まず第一に、人々は屋根が壊され、人が寝かされている床がつり降ろされて来たのに驚きました。ところが、不思議なことにイエス様は、その彼らのことを叱られませんでした。5節を見ると、「その人たちの信仰を見て」と言われています。イエス様は、その人々の行為よりも、行為の源にある彼らの心を、彼らの信仰をご覧になりました。イエス様がご覧になるのは、信仰であることを覚えましょう。

究極的な救い
第二に、人々は、イエス様がこの中風の人に向かって、「あなたの罪は赦される」とおっしゃったとき、驚きました(5)。本人も、また、彼を連れて来た四人の友人も彼のいやされることを願ってやって来たのでした。それなのに、どうしてイエス様はこの人に向かって、「子よ、あなたの罪は赦される」とおっしゃったのでしょうか。イエス様はわたしたちの究極的な問題に解決を与えて下さるお方、罪の赦しのために、わたしたちの身代わりに十字架で死ぬためにお出で下さったお方なのでした。

起きて、床を担いで歩け
第三に、イエス様が御声をかけられると、その人の病がいやされ、まっすぐ立って歩き出したとき、人々は驚きました。イエス様は、「あなたの罪は赦される」とおっしゃった後、ご自身が罪を赦す権威を持っているということを証明するためにおっしゃいました。「起き上がり、床を担いで家に帰りなさい」(11)。すると、その人は、すぐ起き上がり、床を担いでみんなの見ている前を出て行きました。イエス様は、それまで、人に依存するしかなかったこの人の人生を、自分の足で立って前進して行ける人生につくり変えて下さったのでした。この、イエス様が究極的な問題に解決を与え、その後、具体的な地上の歩みにおいても祝福を与えて下さるという区別と順序ということはとてもたいせつです。

(前川隆一)