しかし、あなたがたの間では、そうではない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたいものは、すべての人の僕になりなさい。

                            マルコ10章43~44節
 
イエス様による三度目の十字架予告、そして、ヤコブとヨハネのイエス様に対する願いとが記されている箇所です。

ヤコブとヨハネの願い
第一に、ヤコブとヨハネの願い、それは、イエス様が「栄光をお受けになるとき、一人をあなたの右に、もう一人を左に座らせて下さい」というものでした。偉くなりたい。人の上に立ちたい。それが、彼らの願いでした。このことを通して、わたしたちは何を学ぶのでしょうか。それは、弟子たちの悟りの鈍さです。ヤコブとヨハネがこのような願いを言う前に、イエス様は、はっきりと、死ぬためにエルサレムに上ろうとしている、ということを語っておられました。それにもにもかかわらずです。では、それは、ヤコブとヨハネだけのことなのでしょうか。いいえ。これは、わたしたちの姿でもあるのです。

イエス様の目標
第二に、イエス様が何を目標にして歩みを進めていかれたのでしょうか。イエス様は、絶えず父なる神様のみこころに従って歩まれました。その最終的な目標は、十字架の死でした。けれども、そのことを弟子たちは理解できませんでした。では、イエス様は悟りの鈍い弟子たちを叱りつけられたのでしょうか。そうではありませんでした。イエス様は、黙って十字架への道を歩み、そのうしろ姿を通して、弟子たちにメッセージを伝えられたのでした。

イエス様の勧め
イエス様は一方において十字架へと歩むそのうしろ姿を通して弟子たちに語られました。とともに、第三に、具体的にどのような勧めをなさったのでしょうか。それは、「仕える者となりなさい」ということでした。イエス様は、十字架へと向かう歩みの中におられました。ですから、弟子たちにも「あなたがたもわたしに従って殉教しなさい」と勧められたのでしょうか。そうではありませんでした。与えられたところで、日常の中で、淡々と「仕える者となりなさい」、それがイエス様の勧めでした。そして、仕える力を与えて下さる、それは、わたしたちのために十字架で死んで下さった主イエス様なのです。

(前川隆一牧師)