神の子イエス・キリストの福音の初め。           マルコ1章1節。
マルコによる福音書の冒頭の部分です。

回復
マルコは、福音書の冒頭、「神の子イエス・キリストの福音の初め」と書きました。「福音」とは、喜びの訪れです。それは、マルコ自身が体験、経験したことでした。マルコは、第一回伝道旅行のときに、その伝道旅行があまりにもきびしいものであったために、途中で、放り出して帰ってしまうということがありました。それで、マルコの人生は、閉ざされてしまったのかというと、そうではありませんでした。マルコは、回復することができたのでした。そこには、パウロと喧嘩別れをしてでも、もう一度チャンスを与えてくれたバルナバの存在がありました。けれども、やはり、その根底にあって、マルコが経験した、それは、福音の力でした。

希望
マルコは、ペトロの弟子として歩んだ人でした。ペトロの晩年の手紙に、マルコの名前が出て来ます(ペトロの手紙第一5章13)。ローマにおいて、ペトロは、殉教の死を遂げます。その殉教を前にして、死を前にして書いた、それが、ペトロの手紙でした。そのペトロの手紙に、ペトロは、こんな風なことを書いています。「わたしたちの主イエス・キリストの父である神が、ほめたたえられますように。神は豊かな憐れみにより、わたしたちを新たに生まれさせ、死者の中からのイエス・キリストの復活によって、生き生きとした希望を与え」ペトロは、ローマにおいて、死を前にしていました。けれども、ペトロは、死を超える希望、復活の希望に生きていました。その復活の希望を受け継いで行った。それが、マルコでした。

福音
過去に対する赦しと、将来に対する平安を得て、マルコは、今を力強く生きる者とされたのでした。それは、福音の力によってでした。そして、この福音に生きる者となってほしい。すべての人に、そのようになってほしい。そのような願いをもって、この福音書を、マルコは書き起こして行ったということです。

(前川隆一牧師)

本日の礼拝動画はこちら