「神はわたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに深く愛しておられ、もっと豊かな恵みをくださる。」 ヤコブ4章5~6節
「神に服従しなさい」と表題のつけられている部分です。
三つの敵
まず、ヤコブは、クリスチャンが心に留めておくべき敵があるということを教えています。それは、世ということ(4)、悪魔ということ(7)、罪ということです(8)。さらにヤコブは、この罪ということを、三重構造に掘り下げて、教えています。それは、行為としての罪(2)、心の罪(2)、そして、神に敵対して歩むこと(4)です。このように見て来ると、「ヤコブの手紙は、クリスチャンの実践ということが語られており、パウロの手紙より底の浅い手紙である」ということは言えないということが分かります。
対処法
その上で、ヤコブは、そのような敵に対して、わたしたちがどのように対処すべきかを教えています。それは、「神に服従する」ということ(7)、「悪魔に立ち向かう」ということ(7)、「神に近づく」ということ(8)、「手を清める」ということ(8)、「心を清める」ということ(8)、「悲しみ、嘆き、泣く」ということ(9)、「主の前にへりくだる」ということ(10)です。
実践の書?
このように見て来ると、やっぱり、ヤコブの手紙は、クリスチャンの実践ということ、行いということが語られている手紙である。そんな印象を持たれる方もおられるかもしれません。けれども、5~6節でこのように言われています。「神はわたしたちの内に住まわせた霊を、ねたむほどに深く愛しておられ、もっと豊かな恵みをくださる」。ヤコブは、まず、わたしたちの存在にスポットライトを当てているということです。その上で、そのような者とされたのだから、「神に服従しなさい」、「悪魔に立ち向かいなさい」、「神に近づきなさい」、「手を清めなさい」、「心を清めなさい」、「罪を悲しみ、泣きなさい」、「主の前にへりくだりなさい」、そう勧めている、ということです。
(前川隆一牧師)