この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。

                             ヘブライ1章2節

ヘブライ人への手紙の序論の部分です。

御子 
この序論の部分では、「御子」と言われています。それは、父なる神様に対する御子ということをここで言おうとしている、ということです。逆に、今日の新訳の時代、御子であるイエス・キリストを通して、父なる神様を知るということがわたしたちにはたいせつです。わたしたちは、人間的な経験の延長上に神様を知ろうとしても、それはゆがんだものになってしまうのです。そうではなく、聖書を通して、キリストがどれほど愛のお方であるかを学び、そのキリストの父なる神様として、神様というお方を知ろうとする必要があります。

創造者
第二に、今日の箇所の中で、「御子によって世界を創造されました」と言われています(2)。御子なる神は、父なる神、聖霊なる神とともに、天地創造のときに立ち会われたお方です。とともに、この「世界」ということばは、「代々」とも訳すことのできることばが使われています。わたしたち人間の歴史は、「代々」の連続です。その一つ一つの世が御子によって造られているということです。わたしたちが生きているこの世もです。ヘブライ人への手紙2章10節には、キリストが、「万物の目標であり源である方」と言われています。

天使よりも優れたお方
第三に、キリストは天使よりも優れたお方ということが言われています(4)。どういう点が、天使より優れているか、それは、へりくだって人間となられたということです。天使は、人間の悲しみ、痛みを、「かわいそうに」とは思っても共感することはできないのです。けれども、キリストは、わたしたちと同じ人間となって下さったのです。その文脈の中で、「イエス」という名前が出て来るのです。

御子キリストがそのようなお方であるからこそ、そのことばは、わたしたちの魂の深みまで慰めを与え、わたしたちを立ち上がらせる力を持っているのです。

(前川隆一牧師)