ガラテヤの信徒への手紙 5章1節―6節

使徒パウロのこの手紙は、福音の恵みから外れようとしているガラテヤの信徒への嘆きを持って始まる(1章6節)。パウロは人は律法の行いではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされることを改めて教えている(2:16)。「聖書のみ、恵みのみ、信仰のみ」ということばは、宗教改革の中身を表している。上よりの恵みに人の手で付け加えるものは何一つない。聖書の言葉がそのことを明確に示している。信仰は恵みを信じて受け取ることである。「この自由を得させるために、キリストはわたしたちを自由の身にしてくださった」(5:1)。パウロの言葉は、人々をもう一度、イエスキリストの十字架の恵みにまで立ち返らせる。そのうえで、「愛の実践を伴う信仰」(6節)とあるように、恵みゆえに救われたことに感謝し、聖霊のみちびきのなかで、その信仰は愛の実践をつながるはずであることを教えている。ルターは、著書のなかで、「キリスト者は全く自由であるが、むしろ自分の隣人を助けるために、喜んで自らを僕となって交わりたい」と記している。

今日のみ言葉は、私たちを聖霊のみちびきのなかで、信仰によって愛をもって助け合うようにと押し出していくものである。確かにそのために私たちは自由にされている。

(伊藤和史長老)