女は言った。「主よ、ごもっともです。しかし、子犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。」                 マタイ15章27節

「主よ、ダビデの子よ。わたしを憐れんでください。」そうイエス様に願ったカナンの女性の信仰について記されている箇所です。

大胆な信仰
この女性の信仰、それは、第一に、非常に大胆な信仰でした。カナン人というのは、イスラエル民族がヨシュアに率いられて約束の地に入植したときに、先住民として住んでいた人々でした。言わばユダヤ人とは、敵対関係にある人々でした。そのカナン人の女性が、「ダビデの子よ」とカナン人としての立場を捨てて、イスラエル人、ユダヤ人であるイエス様にあわれみを求めたということです。

忍耐強い信仰
また、それは、第二に、忍耐強いものでした。イエス様は、「子供たちのパンを取って子犬にやってはいけない」そう、おっしゃいました。「子供たち」とは、神様の選びの民であるユダヤ人、イスラエル人のことです。普通であれば、あきらめたり、腹を立てたりして、去って行ってもおかしくない場面でした。けれども、この女性は、犬は犬でも、イエス様が子犬と言われた。そのことをつかまえて、27節、「女は言った。『主よ、ごもっともです。しかし、子犬も主人の食卓から落ちるパン屑はいただくのです。』」そう切り返したということです。

大きな信仰
この女性に向かって、イエス様は、最終的に、「婦人よ、あなたの信仰は立派だ。あなたの願いどおりになるように。」そうおっしゃったということが記されています。28節です。この「立派だ」ということばですが、「大きい」という意味のことばが使われています。では、イエス様が「大きい」とおっしゃった。それは、何が大きかったのでしょうか。ひと言で言うなら、それは、彼女の信頼の大きさということでした。彼女は、娘の病の現実、また、イエス様の拒絶とも受け取れる現実にもひるまず、イエス様とそのご愛にしっかりと目を留め続けたのでした。深い、大きな信頼をもって、イエス様を見つめ続けたのでした。

(前川隆一牧師)

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