味わい、見よ、主の恵み深さを。いかに幸いなことか、御もとに身を寄せる人は。 詩編34編9節
詩編34編は、大きく分けて、三つのことが記されています。
わたしはあなたをおそれます
第一、「わたしは、神様、あなたをおそれます」ということがうたわれています(10)。今日の詩編、表題を見ると、「ダビデがアビメレクの前で狂人を装い、追放されたときに。」そう記されています。ダビデは、ガドという敵国に紛れ込んで、サウルの追手から逃れようとすることがありました。そのとき、ガドの王アキシュに自分の正体がばれてしまい、恐れて、よだれを垂らし、城門の扉をかきむしって、狂人のふりをしました。そのような恥部と言えるようなできごとを通り抜けて、ダビデは、いよいよ神を畏れる者となって行ったのでした。
わたしはあなたを賛美します
第二のこと、「わたしは、あなたを賛美します」ということです(2~4)。主を賛美する、それは、わたしを造り、わたしを生かして下さっている神様を崇め、神様に栄光をお返しすることです。それは、神様の目的にかなった的を射た人生です。肩の力を抜いて神様によって持ち運ばれて行く人生です。神様に愛されているその愛に応えて、自分に与えられている賜物を精いっぱい用いて行く人生です。
わたしはあなたの恵みを味わいます
第三に、「わたしは、あなたの恵みを味わいます」ということがうたわれています(9)。ダビデは、厳しい現実の中で、多くの戦いを経験しました。そんな戦いを経て、最終的に、神様に栄光をお返しし、神様を賛美して終わる詩編もあります。逆に、戦いの真っ只中で終わっており、讃美にまで至っていない詩編もあります。いずれにしても、ダビデは、そのような戦いの中で、神様の恵みを味わったのでした。いや、そのような戦いの中でこそ、神様の恵みを味わうことができたのでした。
「神様をおそれる」ということと「神様を賛美する」ことというのは、ちょうど反対のことのように思えます。そういう意味で、この、「主の恵みを味わいます」ということが、二つを結び付けている潤滑油の役割を果たしているということです。
(前川隆一牧師)