舟の中にいた人たちは、『本当に、あなたは神の子です』と言ってイエスを拝んだ。
マタイ14章33節
「湖の上を歩く」と表題のつけられている部分です。
湖の上を歩いたペトロ
第一に、イエス様の「来なさい」ということばに従って、湖を歩いたペトロの信仰ということです。ゲーテという人は、このイエス様の「来なさい」とのことばに従って、湖を歩いたペトロの信仰の物語を「わたしが最も愛している物語の一つ」と言ったようです。「この物語における、最も崇高な教えとは何か。それは、人間というものは、どんな困難な企てにおいても、そこで信念と神聖な勇気とさえあれば、必ず勝利することができるということである。」そう言ったようです。
沈みそうになってしまったペトロ
けれども、第二に、ペトロは、湖の中に沈み込んでしまいそうになりました。ペトロが、湖の上を歩くことができた。それは、「来なさい」と言われるイエス様のことばを信じる信仰によってでした。信仰という手段によって、ペトロは、湖の上を歩くことができました。けれども、ペトロは、次の瞬間、湖の中に沈み込んでしまいそうになってしまいました。それは、ペトロが手段を目的としてしまったからでした。わたしたちは、目的であるお方に、しっかりと目を注いでいることがたいせつです(ヘブライ2章10節・新改訳)。
主の御手
第三に、ペトロは何によって引き上げていただくことができたのでしょうか。言うまでもなく、イエス様の御手によってです。けれども、そのイエス様は、十字架へと向かわれるお方であったということ。十字架へと向かって歩んでおられるイエス様によって引き上げていただいたということに心を留めたいと思います。イエス・キリストは、十字架で死ぬためにお出で下さった救い主でした。十字架で、わたしたちすべての罪を贖うために来て下さった救い主でした。そのお方によって、ペトロは、引き上げていただいたのです。そのお方に、わたしたちは、引き上げていただくことができるのです。
十字架の主に引き上げていただき、信念と神聖な勇気をもって生きる。それが、わたしたちの信仰の歩みなのです。
(前川隆一牧師)