彼はアブラムを祝福して言った。「天地の造り主、いと高き神に アブラムは祝福されますように。」 創世記14章19節
創世記14章は、戦争に巻き込まれ、東方連合軍の捕虜として連行されようとする甥のロトを、アブラムが郎党を率いて追跡、救出したできごとです。
アブラムの勇気
ケドルラオメルというエラムの王の連合軍がアブラムの甥ロトの住むソドムやゴモラの町々に攻め入り、大打撃を与えたこと、そして、ロトとその財産も奪い去られたという知らせがもたらされると、アブラムは、子飼いの郎党318人を引き連れて出立します。ここに、13章で見たアブラムとは別のアブラムの姿を発見します。それは、勇敢なアブラムの姿、戦士アブラムの姿です。アブラムは、決して何でも「いいよ。いいよ」と譲ってしまうお人よしではありませんでした。アブラムは、行動的な人、勇敢な人でもありました。
アブラムの無欲
行動の人、勇敢な人としてのアブラム。とともに、今日心に留めたいのは、その後のアブラムの姿です。アブラムがロトとその財産、女たちやそのほかの人々を取り戻して帰って来たとき、ソドムの王が出迎え、「人はわたしにお返しください。しかし、財産はお取りください」とアブラムに言います。そのときアブラムは、神様に栄光を帰して、「あなたのものは、たとえ糸一筋、靴ひも一本でもいただきません」と言います。なんとも無欲なアブラムの姿です。
心満たされて
実は、東方の連合軍との戦いが外なる戦いであったとすれば、このソドムの王とのやり取りは、アブラムにとってもう一つの内なる戦いのできごとでした。それに勝利することができた秘訣、それは、メルキゼデクとの出会いにありました。アブラムがメルキゼデクの祝福を受けたことにありました(19~20)。このメルキゼデクは、イエス・キリストの型とされる人物です(ヘブライ7、8章)。わたしたちも、キリストによって満たされて、外なる戦い、内なる戦いに勝利することができるのです。
(前川隆一牧師)