聖霊降臨後第16主日・「神の憐れみに生きる」

ラザロという名前は“神は助ける”との意味です。つまりラザロとは、神の憐れみに生かされる者です。

しかしこの世ではラザロは満足な憐れみを受けることはできませんでした。一方金持ちは、ラザロを憐れむ気持ちを持たなかった。

ラザロは死に、そのたましいは御使いたちによってアブラハムのふところに連れていかれました。金持ちも死にました。盛大な葬儀が行われたのでしょう。でも金持ちは、ハデスで苦しむことになりました。

地上の生き方によって、死後の生き方は決まりません。むしろ、逆転することがあり得ることを、このたとえ話は語っています。

何故、そのような逆転が起きたのでしょうか？　ラザロは、神の憐れみのみによって生かされてきた者でしたが、金持ちは、神の憐れみによって贅沢な生活が許されたことを忘れていた。

神の憐れみを忘れた者に、神の助けの手は伸ばされません。そして一度起きてしまった死後の逆転は。その再度の逆転はもう二度と起こりません。

イエス様は、あなたにも言われます。「あなたはラザロだ」と。あなたが“神の憐れみの助けなしには生きられない者”(ラザロ)だからです。神の憐れみとは、神があなたの近くにおられることです。

旧約の時代、神様と人との間には絶対的な距離感がありました。それが新約の時代になり、イエス・キリストが人に近づいて来てくださり、神と人との距離はぐっと近くなりました。

さらに、イエス様の十字架により神殿の幕が裂け、人は神に近づくことが赦されたのです。

詩篇作者は言います。「私にとっては、神の近くにいることが、幸せなのです」（詩篇73：28）。

それ故、ラザロがアブラハムのふところに抱かれている姿は、人間の究極的な幸せの姿です。

イエス様はあなたに「ラザロであれ」と言われています。

人の本当の生き方は、神の憐れみにすがって生きる以外にはありません。そして人に与えられた最も大きな神の憐れみがイエス・キリストです。

神の願いは、あなたが更にご自分の近くに来ることです。そしてあなたが一層、神との距離が近い者とされたとき、主はあなたをご自身の憐れみを伝える者と変えてくださるのです。